小さな窓辺のあるベンチ 「造作家具・オーダー家具のアイデア展」に出品した家具とインスタレーション
いつもの風景が少しだけ違って見える
家族で過ごす普段の暮らしや、いつもの風景が少しだけ違って見える、ひとつの部屋に一緒にいるけれど、ふーっと一人にもなれる、そんな時間を過ごすベンチ。
ページをめくりながら小さな窓辺に目をやれば、その向こうの気配とつながる。
ムクの挽板で作られた三層パネルの穏やかな木肌にそっと腰掛ければ、静かな場所が生まれる。
本を読む、そんな自分の時間を大切にする小さな拠り所が、いつもの部屋の中にできた。
小さな窓辺のあるベンチ
展覧会 / 「造作家具・オーダー家具のアイデア展」 インスタレーション
デザイン:小形 徹 * 小形 祐美子 プラス プロスペクトコッテージ 一級建築士事務所
製作・塗装 : ニシザキ工芸株式会社 / 材料協力 : 木童(とどパネル)
リビングデザインセンターOZONE / 東京都 新宿区 / 2010/05/13~06/22
この家具の原型となったものは、厚みのある壁に開けられた窓。
その向こうの風景や光に誘われて、ふーっと入り込みたくなる、窓辺(ウィンドウ・シート)の心地良さです。できるだけフレンドリーなものにしたいと考えていました。一見するとDIYのようなディティールです。しかしそれが、少し厚めの材と、江戸指物師の伝統をくむニシザキ工芸さんの、非常に精度の高い製作・シルクのような仕上がりの塗装(知り合いの方からいただいた表現です・・・)によって、穏やかな上品さが生まれています。
本を読む楽しみというのは、いろいろな時や場所に思いをはせることができることかもしれません。それはそこにいながらにして、時間と空間を旅すること。本を時間と空間に開いた窓と例えることもできそうです。TwitterやiPadなど瞬時にいろいろなものや人につながる電子メディアがあたりまえになりつつある時代ですが、そうであれば益々、列車のコンパートメントに座ってゆったりと過ごす時間のようなものの価値も、求められているようにも思います。
会場には、村上春樹の「使いみちのない風景」とマルグリッド・デュラスの「娘と少年」の2冊を置きました。日常のなかにふっと開いた場を楽しんでいただけたと思います。
仕上:とどパネル(厚36mm)MOKUTO塗装仕上げ
全体会場構成 : studio kaz / 和田浩一
グラフィックデザイン : FINEDESIGN / 大沢邦生
ディレクター : リビングデザインセンター / 安藤幸子
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