大分県立美術館 計画案
見えるもの 見えないもの
目に見えるものから目に見えないものを想像する
美術とは、例えそれが具象的な表現を伴っていても、目に見えるものから目に見えないものを想像するという意味で、抽象的なものだといえるかもしれない。そのようなことを空間体験として得ることができる場を提供し、それによって未来を担う人々を育てること、それこそがこの建築が果たすべき使命だと考えた。
街と美術をつなげる広場 と 美術を体験するための穏やかな中庭
この計画案では、地面レベルを街と連続し街と美術をつなげる広場としてとらえ、その上部に、街とは違う環境の中で美術を体験するための穏やかな中庭のような場所をつくる。
中庭をめぐって歩くこと 美術と建築が織り成す空間の体験
この美術館の中心でもある中庭は、街の喧騒を断ちながら、大分の空や光や風と対話ができる場所となり、建物全体に息吹を与えるだろう。人々はここを中心にぐるりとめぐって歩くことで、美術と建築が織り成す多様で豊かな空間シークエンスを体験する。それは忘れがたい経験として人々に強い印象を残すにちがいない。
大分県立美術館
計画案 / 美術館
SRC造 / 地下1階地上4階建て / 大分県大分市 / 2011
床面積:地上部11,000m2 地下駐車場4,260m2
設計:小形 徹 * 小形 祐美子 プラス プロスペクトコッテージ 一級建築士事務所
プレゼンテーション動画@YouTube
建築の階の構成
1階にまちと美術をつなげる屋内の広場をつくる。
2階および3階をギャラリーおよび展示室とする。
2階には中庭(屋外)を設け、その周囲を巡りながら美術の体験を得ることができるようにする。
4階は収蔵庫と機械室にあてる。
建物の階構成は防災面においても有効に働き、大切な美術作品等を2階以上の階に保護したうえで、1階をパブリックかつオープンな場所として活用することを可能にする。
1階 エントランスホール・管理部門
・エントランスホールはまちに連続する屋内の広場である。
・誰でもが自由に思い思いの時間をすごすことの出来る場所とする。
・カフェやショップ、イベントスペースを設置する。
・建物全体を統括する管理スペースもこの階に配置。
2階 美術館ホワイエ・県民ギャラリー・中庭・教育部門
・県民ギャラリーと教育部門が配された2階には、1階エントランスホールから光に満ち溢れる階段を上がってアプローチ。
・複合商業施設からのペデストリアンデッキもこの美術館ホワイエに接続。
・ワークショップ・教育部門へは一度外へ出て中庭を見ながら回廊を通ってアプローチ。
・まちの喧騒から離れた中庭は芝生で被われ、彫刻ひろばでもあり、ワークショップやパフォーマンスを行うことも、あるいは自由にくつろぐこともできる空間とする。
3階 美術館ホワイエ・常設展示室・企画展示室
・常設展示室は展示物の種類や照明によって分けられた複数の室で構成する。
・企画展示室は異なったプロポーションと採光方法による6つの展示室によって構成。
・自然光の下で空間の表情は刻々と変わっていき、そこで作品と対話できるようにする。
4階 収蔵庫・設備スペース
・常設展示室の真上の4階に収蔵庫を配置。
・設備スペースは4階を中心に配置し、エネルギーロスの少ない効率的な設備計画を目指す。
地階 駐車場
・自家用車等を100台収容。
・県民ギャラリー等での催しの際、自家用車で搬入した人が風雨にさらされることなく作品を搬入できるよう配慮。
・夜間等、美術館開館時間とは別に使用できるようにも計画。
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