スティルネス 舟のようなくぼみを持つ家具
あっ!夢見てた…。
“舟”としてのチェンバーの物語をその背景に、「チェンバー・ファニチャー」として、私達の日常の暮らしへと提案された“Stillness”は、9つに分割され、その全体で舟形のくぼみを形成するクッション部と、それらを保持し、移動や設置の補助となるキャスターのついた台車で構成される。
人は注意深くその身体を、舟形のくぼみのなかへと鎮める。身体は、自らの皮膚や筋肉から伝えられる感覚をとおして、そのくぼみにより支えられ、包まれていることを人に実感させる。また、分割されたクッション部がそこに入った身体の動きに追従し、様々な姿態へ柔軟に応答する。クッション部は台車の上に置かれただけの状態になっており、使用者の志向によってその配列は自由に組換えが可能になっている。
「あっ!夢見てた…。」
実際にここに身を横たえた人から発せられた、その短い言葉が、この小さな室―“Stillness”の機能を適確に表現している。
スティルネス
展覧会 / 第三回 kagu-カウンシル家具会「チャンバーファニチャー」 出品
デザイン:小形 徹 * 小形 祐美子 プラス プロスペクトコッテージ 一級建築士事務所
2001/08/20~08/26 AXIS GALLERY ANNEX(六本木)
掲載:新建築2001年10月号/新建築社、コンフォルトNo.51/2001年12月/建築資料研究社
Stillness:
静けさ、平静、沈黙、音のしない場所、静かな環境
私たちのの意図は、移り気でせわしない日常のなかに、句読点をつくること。
そして、言葉の届かない遠く離れた地点へと、これを使用するものを送り届けることにあります。
くぼみのなかに注意深く入りこみ、そして腰をおろし、身を横たえ、静かに息を休めてください。
そこで行われる一連のふるまいは、入りこんだものと、まわりの風景や時のながれとの間に、見えない隔たりをつくり、それを保持します。
私たちは、このくぼみ"Stillness"をチェンバーと考え、
わたしたちの日常の暮らしのなかに、この環境を提案します。
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